心不全とは
心不全とは

心不全とは、心臓の機能が低下し、体が必要とする血液を十分に全身に供給できなくなる病気です。心不全の患者数は年々増加傾向であり、その症状や進行度は様々ですが、いずれも早期の診断と適切な治療が重要です。このページでは、心不全の基本的な情報、原因、症状、診断方法について詳しく解説します。
心臓は血液を送り出すポンプの役割を担っており、生涯休まずに働き続けています。心不全ではそのポンプ機能が障害を受けることで、全身の各組織に必要な酸素や栄養を供給できなくなります。その結果、息切れやむくみが生じて最終的には命にかかわるご病気です。教科書的には「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義されています。
心不全は経過のスピードで急性心不全と慢性心不全に分類されます。急性心不全は突然の発症で命に関わることも少なくありません。慢性心不全は長期間にわたり進行していくので、定期的な管理や治療が重要と考えられています。
心不全は、高齢化に伴い多くの方がたどる終末像であり、高齢者がもっとも注意が必要な心臓のトラブルの一つです。心不全の患者数は全国で約120万人と報告されており、がんの患者数が約100万人ですので、現状でもがんよりも心不全の患者数が多い状況となっております。
心不全の罹患率は高齢になればなるほど高くなることが知られています。米国の研究では、50歳代での慢性心不全の発症率は1%であるのに対し、80歳以上では、10%になることが報告されています。高齢化の一途をたどる我が国でも、患者数の増加が続くと予想されており、2030年には130万人に達すると推計されています。

心不全の原因は多岐にわたりますが、主な原因として以下が挙げられます。

高血圧は心臓に過度な負担をかけるため、時間と共に心臓の機能が低下することがあります。長期間高血圧が続くと、心臓が肥大してしまい、血液を貯留する容積が狭くなります。その結果、非効率なポンプとなってしまい、血液を十分に送り出せなくなることがあり心不全を引き起こします。その他、糖尿病や脂質異常症も冠動脈疾患等の心臓の病気の原因となり間接的に心不全の原因となります。
心臓の血管(冠動脈)が閉塞することで心筋が酸素不足に陥り、心筋梗塞を引き起こします。心筋梗塞になると心臓の筋肉(心筋)が壊死し、心臓の機能が低下し、心不全に至ることがあります。
心筋症は心臓の筋肉自体に異常が生じ、心臓のポンプ機能が低下する病気です。遺伝的な要因や感染症、アルコールや高血圧が原因となることがあります。
弁膜症は心臓の弁が正常に機能しなくなる病気です。それにより血液が逆流したり、心臓に過度な負担がかかり、循環が非効率になり、最終的に心不全を引き起こすことがあります。
不整脈、特に心房細動などは心拍数の異常を引き起こし、心臓が効率よく血液を送り出せなくなることがあります。これも心不全の原因となることがあります。
心不全の症状は進行度や患者様個々の状態によって異なりますが、一般的には以下のような症状が見られます。
心不全により血液の流れが悪くなると、体内への酸素供給が不十分になり、息切れを引き起こすことがあります。軽度の場合は運動時に感じることが多いですが、進行すると安静時でも息切れを感じるようになります。
心不全が進行すると、体内の水分がうまく排出されなくなり、足や腹部、顔などにむくみが生じます。重力を反映し、特に足首やふくらはぎにむくみが現れることが多いです。
心不全では体に必要な血液や酸素が不足するため、日常的な活動でも疲れやすくなることがあります。これにより倦怠感や無力感を感じることが多くなります。
肺や気管支が水っぽくなりむくむことで気管支の内腔が狭くなり、息を吐くときにヒューヒュー音がする(喘鳴)が出ることがあります。また、胸の空間に水がたまり(胸水)、肺を刺激して咳が出る場合もあります。
心不全により体内の水分の排出がうまくいかなくなり、水分が蓄積します。その結果、体重が急激に増加することがあります。この体重の増加は、水分の貯留によるものです。
心不全の診断は、患者の症状、病歴、身体検査に加え、いくつかの検査を通じて行います。主な診断方法には以下があります。
心電図は、心臓の電気的な活動を記録し、心不全を引き起こす可能性のある不整脈や心筋の異常や過去の心筋梗塞の有無を検出するために使用されます。
心エコーは、心臓の構造や機能を評価するために使用されます。心臓の収縮力や弁の働き、心室の拡大や肥大などを確認できます。
血液検査により、心不全に関連するバイオマーカー(BNPやNT-ProBNPなど)の濃度を測定し、心不全の重症度を評価することができます。
胸部X線検査は、心臓の大きさや肺の状態を確認するために使用され、心不全の診断に役立ちます。
CPX検査は心肺機能を客観的に評価する検査です。通常の検査では同定できない心不全があり、CPX検査が有効な場合があるといわれています。
