大腸がん
大腸がん
結腸と直腸を総称して大腸といいます。大腸に発生するがんを大腸がんといいます。
腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。
日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。
大腸の粘膜に発生した大腸がんは次第に大腸の壁に深く侵入し、やがて大腸の壁の外まで広がり腹腔(ふくくう)内に散らばる腹膜播種(ふくまくはしゅ)を起こします。
また、大腸の壁の中を流れるリンパ液に乗ってリンパ節転移をしたり、血液の流れに乗って肝臓、肺など別の全身の臓器に転移したりします。
5年生存率(2014-2015年)はⅠ期では83.1%、Ⅱ期では75.6%、Ⅲ期では68.7%、Ⅳ期では17%であり、ステージが進むと厳しいご病気です。
男性ではがんの死因の第2位であり、女性ではがんの死因の第1位であり、死因の上位を占めているがんです。
原因
喫煙、飲酒、肥満により大腸がんが発生する危険性が高まるとされています。女性では、加工肉や赤肉の摂取により大腸がんが発生する危険性が高くなる可能性があるといわれています。
また、遺伝的な原因もあるとされています。特に家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の家系では、大腸がんの発生が多くみられます。
症状
早期の段階では自覚症状はほとんどなく、進行すると症状が出ることが多くなります。代表的な症状として、便に血が混じる(血便や下血)などがあります。慢性的に出血が持続することで貧血の症状(めまい・息切れ・呼吸困難感・動悸など)があらわれたり、腸が狭くなることによる便秘や下痢、便が細くなる、便が残る感じがする、おなかが張るなどの症状が起こったりすることがあります。さらに進行する腸を完全に塞いで腸閉塞となり、便は出なくなり、通過できなかった食べ物や腸液が逆流して嘔吐・腹痛などの症状が起こります。
体重が持続的に減少するため精査して発見に至ることもあります。
診断
がん検診では便潜血検査が行われています。便潜血検査は、便に微量の血液が混ざっていないかを調べる検査です。1回だけでは発見できないこともありますので通常2日分の便を採取します。
便潜血検査は簡便で体の負担の少ない検査ですがすべての大腸がんを発見できるわけではありません。確実に早期発見を行うには内視鏡検査が必要となります。一方で大腸検査は体への負担もあり、抵抗感の強い患者様もいらっしゃると思います。
そういった患者様では大腸CTをお勧めしております。言葉のとおりCTで大腸の内部を観察する検査です。食事や下剤等の準備も内視鏡検査ほどは激しくありませんし、カメラを大腸まで進める必要もなく体の負担を抑えて検査することが可能です。治療が必要な5mm以上のポリープの診断能力は大腸内視鏡検査に匹敵するとされています。当院では内視鏡検査は対応しておりませんが大腸CT検査に関しましては対応可能です。一方で大腸CTでは同時に病変の切除はできませんので大腸のポリープやがんが疑われる場合には再度内視鏡検査を行う必要があります。
治療
病気によって内視鏡治療、手術、放射線治療、化学療法などを行います。これらの治療は当院では対応しておりませんので連携している病院をご紹介させていただきます。
同時に症状がある場合には緩和治療を行って症状の軽減を行います(近年では緩和治療=末期治療という考え方ではなくなっております)。緩和治療は病気の進行の程度に限らず、症状がある場合には重要です。病気が進行すると症状が悪化してくることが予想されますので病気の進行に伴って緩和治療はより重要となってきます。
予防
予防には大量の飲酒を避けることと禁煙が最も重要です。バランスの良い食事や適度な運動、適正体重の維持も重要と考えられています。
最後に
がんは早期発見が重要なご病気です。
大腸CTなどの人間ドックをご利用いただくのも一つだと思いますし、ご希望の患者様には連携している内視鏡検査対応の施設をご紹介させていただくことも可能です。気軽にご相談ください。