心房細動
心房細動
心房細動は不整脈の中で比較的頻度の高いもののひとつです。年齢が上がるにしたがってご病気をお持ちの方は増加し、70歳代では1-3%の方が80歳代では2-4%の方が心房細動をお持ちであるといわれています。今後高齢化が進むことによって病気の患者様は増加してくることが予想されます。
原因
心臓には心房というお部屋と心室というお部屋があります。心房細動はこの2種類のお部屋のうち、心房の電気信号の異常が原因で起こります。
心房は1分間に60回-100回動くのが通常ですが、心房細動では心房が350-600回小刻みに痙攣するように動きます(その信号の一部が心室に伝わるので心室の心拍数としては同程度~180/分程度になります)。
高血圧、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、睡眠時無呼吸症候群、尿酸値が高い、喫煙などは心房細動を起こしやすくなることがしられています。
症状
心房細動が起こると、普段より脈が速くなったり、速い脈と遅い脈が不規則に繰り返されたりします。
また、自覚症状として
・動悸(どきどきする)、
・胸痛・胸部不快感(胸が苦しい)、
・労作時の息切れ(階段や坂を上るのがきつい、息切れしやすい)
・めまい
といった自覚症状があらわれることもあります。
一方で心房細動が起こっても自覚症状が出ない方も4割程度います。健康診断で心電図検査を受けた際に心房細動が偶然見つかるような方もいらっしゃいます。
自覚症状がない場合でも、心房細動が原因となって心臓内に血栓ができ、脳梗塞などが起こることがありますので、心房細動が見つかったら早めに適切な治療を受けることが大切です。
検査
心房細動には持続するタイプの持続性心房細動と一過性に出現しては改善する発作性心房細動があり、必要な検査が少し異なります。
持続性心房細動の場合には受診時にも波形の変化が見られますので、通常の心電図検査で診断が可能です。
一方で発作性の心房細動の場合には自宅で症状が出現していたが、病院では症状が改善していることもあり、心電図検査をしても波形が確認できない場合があります。その場合にはホルター心電図という24時間装着型の心電図検査を行って診断を行うことを検討します。
また、上記のように心房細動に関連している生活習慣病や喫煙の状況を確認することも重要です。さらに別の心臓のご病気を合併していることもありますので心臓の超音波検査で心臓の機能の異常を検査し、血液検査で心不全の数値を確認することもあります。
また最も怖い心房細動の合併症である脳梗塞に関してCTやMRIで検査を行うこともあります。MRI以外の検査は当院で受けていただくことが可能です。
MRI検査が必要な場合には当院から調整をさせていただき、他の医療機関で検査を行っております。その場合に当院で検査結果を聞いていただくことも可能です。
治療
基本的にはお薬での治療を行います。最も重要なお薬は抗凝固薬というお薬です(よく血をさらさらにする薬と表現されます)。
年齢、高血圧・糖尿病・心不全・脳梗塞の既往の有無で脳梗塞の発症率を予測することができますので一定以上のリスクがある場合にはこの抗凝固薬というお薬を開始します。それと同時に心房細動自体を治療(リズムコントロール)したり、制御(レートコントロール)するようなお薬を検討します。
ご年齢や心房細動のタイプを見ながらカテーテルアブレーションという治療を検討する場合もあります。
この治療では心房細動の原因となっている不規則な電気信号の発生源を特定し、カテーテルをその部位まで誘導して心房細動の原因となっている心筋の表面をやけど状態または凍傷状態にして異常な電気信号が伝わらないようにします。
この治療は当院では行っておりませんので必要と判断した場合には患者様にご説明させていただき、対応している医療機関のご紹介をさせていただいております。
予防
他のご病気にも言えることですが、心房細動の一番の予防法は、睡眠不足、過労、ストレス、お酒の飲み過ぎなどを避けることです。
また、早期発見が重要である点も他のご病気と同様です。
当院のInstagramにて脈拍の見方もご紹介していますのでよかったらチェックしていただき、不規則である場合には医療機関へのご相談をお勧めしております。