急性気道感染症|いでハートクリニック【大阪府吹田市の循環器内科、内科】

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急性気道感染症

急性気道感染症|いでハートクリニック【大阪府吹田市の循環器内科、内科】

急性気道感染症とは

 鼻やのどなどの上気道、気管や気管支などの下気道を合わせて気道と表現し、気道が微生物によって感染した状態を急性気道感染症といいます。かなり頻度の高い疾患であり鼻の症状(鼻水や鼻づまり)、のどの症状(のどの痛み)、下気道症状(咳や痰)から下の表のように4つの病型に分けて考えるのが一般的です。

 

病型

鼻水

鼻づまり

のどの痛み 咳や痰
感冒
急性鼻副鼻腔炎 × ×
急性咽頭炎 × ×
急性気管支炎 × ×

 

 急性気道感染症の原因微生物の約9割はライノウイルスやコロナウイルスといったウイルスであるとされています。一方で急性咽頭炎におけるA群 β 溶血性連鎖球菌や急性気管支炎におけるマイコプラズマやクラミジアなど細菌が関与する病態もあり注意を要します。

 血液検査や培養検査、レントゲンやCT検査などの画像を用いて細菌感染の合併がないことを確認する必要がある場合もあります。

 

(1)  感冒
 一般的なかぜ(かぜ症候群)に近い病態であると考えられ、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・のどの痛み・咳・痰などが組み合わせで出現します。発熱はあっても微熱程度のことが多く、頭痛や全身倦怠感などの全身症状も比較的軽いという特徴があります。

しかし、一方でご高齢の患者様では感冒の訴えで大きなご病気が隠れていることもあり注意が必要であり、心臓や肺などの病気をお持ちの患者様では持病が悪化する可能性にも注意する必要があります。

 原因はウイルス感染であり、発症から3日目前後を症状のピークとして、 7~10 日間で軽快していくとされています。インフルエンザウイルスやコロナウイルスを除き、基本的にはウイルスの治療として使用するお薬はなく、体がウイルスを治療してくれるまでの間、症状を軽減するための治療(対症療法)を行います。

 抗生物質はウイルス感染症には効果がないばかりか副作用や耐性菌の出現が懸念され、不必要な使用が近年の問題となっております。当院では適切な検査・診断を行い、治療についてよく相談していくことでできるだけ不要な抗生剤の使用を減らしていきたいと考えています。

 一方で経過中に細菌感染症を合併する場合もあり、症状をしっかりと観察しながら適切な治療を提供することが重要です。細菌感染症の合併の有無を調べるうえでは血液検査が有用であり、場合によってはレントゲンやCT検査で肺炎の有無を否定することが有用な場合もあり、当院で検査し、当日に結果をお伝えすることが可能です。
また、ご不安のある患者様に対してはオンライン診療などを用いながら症状の経過を見させていただき、細菌感染の兆候をすばやくキャッチして治療につなげるようにすることで安心して療養していただけるように努めたいと考えています。

 

(2)  急性鼻副鼻腔炎
 くしゃみ、鼻水、鼻づまりを主症状とする病態を有する急性気道感染症とされています。発熱や頭痛、顔面痛、ほおの圧迫感や違和感、鼻の中に悪臭を感じる、匂いがわかりづらい(嗅覚低下)、鼻水がのどに落ちる(後鼻漏)、鼻水がのどに落ちる事による痰や咳などの症状が出ることもあります。

 基本的にはウイルスが原因となり、ウイルス性に細菌性鼻副鼻腔炎を合併する症例は2%未満と報告されています。ウイルス性副鼻腔炎の経過は1ヶ月程度で自然軽快していくことがほとんどですが、稀に3ヶ月以上持続して慢性化(慢性副鼻腔炎)に移行することがあります。
場合によっては耳鼻科での検査・治療が必要になることもあり、そういった場合には専門の医療機関にご紹介させていただきます。

 細菌感染の合併がある場合には抗生剤を使用した治療を行います。問診のみでウイルス性か細菌性の区別をつけることは困難とされています。

 適切な診断のために血液検査や鼻腔の培養検査を行いながら細菌感染の合併の可能性があれば抗生剤を使用した治療を行います。

 

(3)  急性咽頭炎
 のどの痛みが主な症状でありのどのかぜとしても扱われます。原因についてはウイルス性が多い一方で細菌感染(A群β溶血性連鎖球菌など)も10%程度含まれるとされている他、非感染性のものもあり丁寧に原因の検索を行うことが重要です。

のどの症状だけではなく鼻炎症状・結膜炎症状・咳などがある場合には特にウイルス感染の可能性を疑います。一方で検査をしないと細菌感染の否定の困難な症例に対してはA群β溶血性連鎖球菌の迅速抗原検査を行い、陰性症例では咽頭培養検査で陰性を確認する必要があります。

 A群β溶血性連鎖球菌は日常診療において最も病原性の強い細菌の一つであり、敗血症・感染性心内膜炎・腎炎などより重症な疾患への移行の懸念もあり、適切に診断して抗生剤での治療を行うことが重要です。

また、咽頭炎では炎症により気道を閉塞してしまうような兆候の有無が重要です。これをRed Flag (危険兆候)と呼んでいます。人生最悪の喉の痛み、口が開かない、唾を飲み込めない(流涎)、声がかすれる(嗄声)、呼吸が苦しい(呼吸困難)などが主なものであり、こういった症状は扁桃周囲膿瘍や喉頭蓋炎など一段階重症度の高い疾患の可能性があり、専門の医療機関への紹介を検討させていただくことがあります。

 当院ではオンライン診療などを利用しながら、丁寧に症状経過を見ていくことで重症化しているのに対応が遅れることがないように心がけています。

 

(4)  急性気管支炎
 咳を主症状とし、痰や発熱を合併することもあります。急性気道感染症による咳は2~3週間続くことも少なくなく、平均 2週間以上持続すると報告されています。

 原因はウイルスが 90%以上を占め、残りの5%~10%は百日咳菌、マイコプラズマ、クラミジア等であるとされています。

バイタルサイン(生命兆候)の異常(体温 38℃以上、 脈拍 100 回/分以上、呼吸数 24 回/分以上)及び胸部聴診所見の異常がある場合には胸部レントゲンやCT検査での精査を行い、肺炎の有無を評価する必要があります。そうでないものは原則ウイルス感染として抗生剤は使用せずに経過を見るのが一般的です。咳が長引く場合には結核の可能性も考慮して検査を行う必要がある場合もあります。

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