肺がん
肺がん
肺は気管支の細胞と肺胞の細胞とで構成されています。これらがなんらかの原因でがん化したものが肺がん(肺癌)です。
肺がん全体としましては5年生存率がⅠ期では74%、Ⅱ期では46.2%、Ⅲ期では26.6%、Ⅳ期では7.4%と報告(2014-2015年)されており、厳しい病気の一つです。
男性では死因の第1位、女性では死因第2位のがんであり、がん死亡の原因の上位を占めるがんです。
肺がんといっても以下のように4つに分類されており、実際には原因や治療方法が少し異なります。
原因
喫煙は肺がんの大きなリスクとされています。喫煙することで男性は肺がんのリスクが4.8倍に、女性では3.9倍になるといわれています。受動喫煙でも肺がんのリスクは1.3倍になるといわれていますので注意が必要です。
その他の原因として、アルミニウムやヒ素、アスベストなどを吸引または浴びることも、肺がんのリスクを高めるといわれています。
一方で肺がんで最も多い腺がんは喫煙との関連が少ないタイプのがんであり、喫煙していない患者様でも肺がんにかかる可能性はあります。
症状
早期には症状が見られないことも多く、進行して初めて症状が出ることもあります。最も多い症状は咳と痰です。原因が分からない咳や痰が2週間以上続く場合には注意が必要です。
他の症状としては、
などがあげられます。しかし、いずれも他の病気でも出現する可能性のある症状ですので、症状だけで肺がんの診断を行うのは困難であり、検査が重要です。
検査
レントゲンが最も簡便に行われる検査であり、日本での肺がん検診でも行われている検査です。レントゲンで異常が指摘された場合にはCT検査で精密検査を行います。
一方で早期の肺がんはレントゲンでは診断が困難であり、肺がんの早期発見にはCT検査が必要ともいわれています。特に肺がんのリスクが高い喫煙患者様では、CT検査の意義が高いといわれています。
近年CTの低線量化が進み、より少ない被ばく量で検査を行うことが可能となっており、CTの位置づけが今後高まってくる可能性があります。現状ではCT検査は検診には盛り込まれていませんので当院では肺ドックで対応させていただいております。
治療
原則は手術療法です。病気や部位によっては放射線治療や化学療法を行う場合もあります。これらの治療は当院では対応しておりませんので連携している病院をご紹介させていただきます。
同時に症状がある場合には緩和治療を行って症状の軽減を行います(近年では緩和治療=末期治療という考え方ではなくなっております)。緩和治療は病気の進行の程度に限らず、症状がある場合には重要です。病気が進行すると症状が悪化してくることが予想されますので病気の進行に伴って緩和治療はより重要となってきます。
予防
日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。
肺がんを予防するために、たばこを吸っている人は禁煙し、吸わない人は受動喫煙を避けて生活しましょう。禁煙を始めてから10年後には、禁煙しなかった場合と比べて肺がんのリスクを約半分に減らせることが分かっていますのでどのタイミングでも禁煙することが重要です。
最後に
早期発見が重要な病気です。肺がん検診をご利用いただくのも重要ですし、より早期発見をめざす場合には肺ドックをご利用いただくのも一つだと思います。気軽にご相談ください。