胃がん
胃がん
胃がんは、胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、無秩序に増えていくことにより発生します。
深く進んでいき、胃の壁の外側に達すると近くにある大腸や膵臓(すいぞう)、横隔膜、肝臓などにも広がっていきます。さらに進むとおなかの中にがん細胞が散らばる腹膜播種(ふくまくはしゅ)が起こることがあります。また、がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って移動し、転移することもあります。
5年生存率(2014-2015年)はⅠ期で82.0%、Ⅱ期で60.2%、Ⅲ期で37.4%、Ⅳ期では5.8%であり、病期が進むと厳しい病気です。
男性ではがんの死因の3位、女性ではがんの死因の4位であり、死因の上位のがんとなっています。
原因
胃がんの原因には、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染と喫煙があります。
症状
胃がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合もあります。代表的な症状は、
などです。
また、がんから持続的に出血することによって、
が起こることもあります。
最近げっぷが増えてきたという症状で調べてみると胃がんが見つかったこともあります。
食事がつかえる、体重が減るといった症状で進行胃がんが見つかる可能性もあります。
いずれの症状もがん以外の病気でも起こる可能性のある症状であり、症状だけで胃がんの診断を行うのは困難です。検査で診断を行うことが重要です。
検査
便潜血検査を行って消化管の出血がないかを確認するのが最も簡便です。便潜血検査は、便に微量の血液が混ざっていないかを調べる検査です。1回だけでは発見できないこともありますので通常2日分の便を採取します。
胃潰瘍でも出血はありますし、大腸からの出血の可能性もありますのでこの検査で胃がんと絞り込むことは困難です。また胃がんがあっても便に出血として出ない可能性もあります。最も診断能力の高い検査は胃の内視鏡検査です。
内視鏡検査が必要と判断した場合には連携している医療機関にご紹介させていただいております。
治療
治療としては病期に応じて胃がんの治療には、内視鏡治療、手術、薬物療法が選択されます。
同時に、症状がある場合には緩和治療を行って症状の軽減を行います(近年では緩和治療=末期治療という考え方ではなくなっております)。緩和治療は病気の進行の程度に限らず、症状がある場合には重要です。病気が進行すると症状が悪化してくることが予想されますので病気の進行に伴って緩和治療はより重要となってきます。
予防
日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。
胃がんの場合は、禁煙すること、ヘリコバクター・ピロリの除菌が有効であることが分かっています。
ピロリ菌の検査や除菌の治療は当院でも対応可能です。お気軽にお申し付けください。