当院では「花粉症」に対しても積極的に診療を行っております。

花粉症では鼻水や鼻づまり、目のかゆみなどの症状が出現します。患者様の数は年々増加傾向と報告されており、日本人の25%が花粉症ともいわれています。

花粉症の原因

人間の体内には異物を除去しようとする免疫機能があります。花粉は本来は無害ですが、体が花粉を有害と誤認し、除去しようとする抗体(IgE抗体)を体内で産生します。すると花粉を取り込んだ時に免疫反応が起動し、肥満細胞が刺激され、ヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギー症状を引き起こす物質を放出します。

ヒスタミンが鼻の粘膜の知覚神経を刺激するとくしゃみが出ますし、鼻の分泌腺を刺激しますと鼻水がでます。また、目の結膜の表面で神経を刺激すると目の痒みや涙が出ます。またロイコトリエンとヒスタミンが鼻の粘膜の血管を刺激すると粘膜の浮腫が起こり、産生された鼻水が内部から出にくくなり、鼻づまりの症状が起こります。

花粉症の症状

症状にはかなり個人差があります。花粉との接触を繰り返すうちにIgE抗体が徐々に体内に蓄積され、個人の許容量を超えると症状が出現するようになります。鼻水・くしゃみ・体のかゆみ、目のかゆみや充血、涙が出るなどの症状が起こります。また鼻で呼吸がしにくくなり口呼吸になることによってのどをいためたり、風邪をひく原因になる場合があります。

花粉症の時期

2月から3月が最も一般的です。これはスギ花粉の飛散時期だからです。日本ではスギの人工林が多く、多くの患者様が悩まされています。しかし、花粉症の時期はこの時期だけではありません。3月から4月のヒノキ花粉、5月から6月のイネ花粉、8月から9月のブタクサやヨモギ花粉など1年を通じて様々な花粉が飛散しています。

花粉症の検査

血液検査にてアレルギーに関連する物質のIgE抗体や好酸球と呼ばれる白血球の数値を確認します。

花粉症の治療

（1）薬物治療

お薬で花粉症の症状を緩和する方法です。下記のすべてのお薬に関して当院で対応が可能です。

1. 抗ヒスタミン薬：アレルギーの原因であるヒスタミンという物質の作用をブロックします。鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどの症状を軽減します。鼻づまりの改善作用もあります。
2. 抗ロイコトリエン薬：鼻づまりの原因となるロイコトリエンという物質をブロックします。それによって鼻の粘膜のむくみが改善し、鼻の奥の鼻水が順行性に流れやすくなることで鼻づまりが改善します。
3. 漢方薬：抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬で改善しないときに使用します。
4. 鼻噴霧用ステロイド薬：鼻水や鼻づまりなど鼻の局所の症状を抑制します。局所のお薬なので全身の副作用が少ない利点があります。抗ヒスタミン薬の内服を強化すると眠気や倦怠感などの副作用が出てくる可能性があり、こうした局所のお薬を使用することで副作用の出現を最小限にできます。
5. 点眼薬：目のかゆみや涙など目の局所の症状を抑制します。局所のお薬なので全身の副作用が少ない利点があります。抗ヒスタミン薬の内服を強化すると眠気や倦怠感などの副作用が出てくる可能性があり、こうした局所のお薬を使用することで副作用の出現を最小限にできます。
6. 注射製剤：6.近年は花粉のIgE抗体が肥満細胞に作用するのを抑制することでアレルギー反応をもとから抑制する注射製剤もでてきております。重症の花粉症症状を有する患者様が適応になります。詳しくは「ゾレア注射の解説」でご紹介しております。

（2）レーザー手術

薬物で十分に効果が得られない、強い鼻づまりの症状に関しては鼻づまりの弱い時期にレーザー手術を行うことでアレルギーの反応を抑えることが出来ます。当院では対応していませんので必要に応じて連携病院にご紹介をさせて頂きます。

（3）舌下免疫療法

アレルギー性鼻炎の原因となっている物質（アレルゲン）を舌の上に投与し、粘膜から少しずつ吸収させて体を慣らしていく治療です。3-5年の継続治療が望ましいとされています。スギ花粉症やダニに対するお薬が保険上認められています。当院でも対応可能ですが、製剤に出荷制限がある場合があります。

花粉が飛び始める前にもしくは症状が出現する前に治療を開始することにより発症の時期を遅らせたりピークの症状を軽減できると言われています。服薬によって効果が出るまで2週間ぐらいかかりますので、例年花粉症に悩んでいる患者様は1月末から薬を服用するといいと言われています。

花粉症の予防

• 花粉情報に注意して生活をするようにして、飛散の多い日には外出を控えるのも一つです。外出時はマスクやメガネを使いましょう。
• 表面がけば立った毛織物などの衣類は避けるようにしましょう。
• 帰宅時によく衣服や髪を払って入室しましょう。
• 飛散の多い日は窓や戸を閉めておき、換気窓は小さく短時間のみにしましょう。
• 飛散の多い日の布団や洗濯ものの外干しは避けるようにしましょう。
• こまめの掃除を心がけましょう。