予防接種
予防接種
ワクチンとは、病原体(細菌やウイルスなど)の病原性を無効化、もしくは非常に弱めた薬剤で、これを体内に注入すると特定の感染症に罹患しなくてもそれに対する免疫が作られるようになるのでその後同じ病原体に感染しても無症状、もしくは軽い症状で済むようになります。成人を対象としたワクチンには以下のようなものがあります。
当院ではコロナウイルスの予防接種を行なっています。基本的には満12歳以上の方を対象にワクチンのご予約を受け付けています。接種券がお手元に届いている方は下の予約からご予約をお願いします。
インフルエンザはインフルエンザウイルスによっておこる呼吸器症状を中心とした感染症で毎年12月~3月を中心に流行します。約1~4日の潜伏期間ののち、咳やのどの痛み、高熱が出現します。また、脳症や肺炎を引き起こすこともあります。異常行動や異常な発言がみられることもあり子どもの場合高熱が出ているときは目を離してはいけません。インフルエンザの予防対策には手洗いうがい、マスク着用など様々ありますがその中でも有用性が高いと言われているのがワクチンです。インフルエンザのワクチンには発症率を下げる効果だけでなく、肺炎などを合併して重篤化するのを防ぐ効果があるとされています。接種後約2週間で予防効果が出てきますので通常は10月中旬~12月初旬の接種をお勧めします。約5か月の予防効果があります。季節性インフルエンザワクチンで比較的多くみられる副反応には、接種した場所(局所)の赤み(発赤)、はれ(腫脹)、痛み(疼痛)等が10~20%の方に起こりますが、通常2~3日で消失します。その他、熱がでる(発熱)、頭が痛む(頭痛)、寒気がする(悪寒)、だるい(倦怠感)などが5〜10%の方に見られますが、通常2~3日で消失します。
肺炎は日本人の死亡原因の第5位(2020年厚生労働省「人口動態統計」より)の病気であり、亡くなられた方の95%以上が65歳以上の高齢者の方です。肺炎球菌は元気な方の鼻の粘膜にも常在している一般的な菌ですが、体力が低下しているときなど菌が体内に侵入します。成人が発症する肺炎の最大の原因(2~3割)は肺炎球菌とされています。この菌に対する抵抗力が、加齢や他の病気に罹患することで低下してしまうと命を落とすような重篤な肺炎を発症してしまうことがあります。1度ワクチンを接種すると約5年間重篤な肺炎を引き起こす確率を下げることができると言われています。副反応は5%以上に接種した場所(局所)の赤み(発赤)、はれ(腫脹)、痛み(疼痛)等が起こるとされています。全身のほてりや皮疹、かゆみ(掻痒感)は1%未満とされており、全身性の副反応はインフルエンザと比較して少ないようです。
☆前回のワクチン接種より5年を経過していれば追加接種が可能です。65歳になった年に1回目の接種を受けることをお勧めします。(ただし公費助成は1回のみで2回目以降は任意接種となり原則公費助成はありません)
帯状疱疹は水ぼうそうと同じウイルスで起こる皮膚の病気です。免疫力の落ちた時に神経に沿った痛みを伴う赤い斑点と水ぶくれが多数集まって帯状に出現します。症状の多くは上半身に現れ、顔面、特に目の周りに現れることがあります。多くの場合は皮膚症状が治ると痛みも消えますが、神経の損傷でその後も痛みが続くことがあります。これが帯状疱疹後神経痛という最も頻度の多い合併症(後遺症)です。加齢による免疫力低下が原因となり、50歳代から発症率が高くなり80歳までに約3~5人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。帯状疱疹の予防には50歳以上の方を対象としたワクチンがあります。水ぼうそうや帯状疱疹に罹患したことがある方にはすでに水痘、帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得していますが年齢とともに弱ってしまうため改めてワクチン接種を行ない免疫を強化することで予防ができます。また、完全に防ぐことはできませんが発症しても症状を軽くする効果があります。
生ワクチン (水泡ワクチン) |
不活化ワクチン (シングリックス) |
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接種回数 | 1回 | 2回 |
発症予防率 | 50~60代 60~70% | 50代 97%、70代 90% |
発症予防期間 | 約5年 | 約10年 |
シングリックスは水痘ワクチンと比べて2回接種が必要でかつ高価ではありますが発症予防・神経痛予防・長期予防のいずれにおいてもより優れた確実な効果を期待できます。
帯状疱疹にかかられた方のつらさを拝見しておりますと50歳を越えた方には是非おすすめしたいワクチンであります。また帯状疱疹に既にかかられた方にも再発予防のために強くおすすめさせていただいております。
副反応については比較的高い頻度で報告されています。接種した場所(局所)の赤み(発赤)、はれ(腫脹)、痛み(疼痛)等が25~70%に起こるとされておりますが、通常2~3日で消失します。その他、筋肉の痛み(筋肉痛)や疲労感、頭の痛み(頭痛)が30~40%に起こるとされていますが、通常2~3日で消失します。
接種後はアナフィラキシーなどの重篤な副反応のリスクがあります。ワクチン接種後は30分程度、院内で安静にしてください。また、帰宅後に異常が認められた場合には、速やかに医師に連絡してください。