注意が必要な動悸の症状
- 2024年4月21日
- 症状・病気
動悸の症状は循環器のクリニックに来院される頻度の多い症状の一つです。今回は注意する動悸のサインについてお話しさせていただきます。
動悸のタイプ
心拍数が速くなっている場合(頻脈)や遅くなっている場合(徐脈)は不整脈を疑います。不整脈には頻脈や徐脈を伴わないものもありますが、頻脈や徐脈を伴う場合には心臓への負担も懸念されますし、場合によって命にかかわる可能性もあります。また、脈が乱れるタイプの動悸もありますが、命にかかわる可能性は一段階低い場合が多いです。しかし、脈が乱れるタイプの動悸でも頻度が多い場合には注意が必要です。一度受診されることをおすすめします。
動悸の頻度や持続時間
動悸の頻度が徐々に多くなっている、動悸の持続時間が長くなっているなどは注意が必要な兆候です。動悸を持続している場合には不整脈が持続している可能性があります。動悸が出ている最中に検査を行うことで動悸の原因を特定することができますし、治療を行うことができます。不整脈が持続することによって心臓に負担がかかったり、命にかかわる場合もあります。また、心房細動は持続することによって脳梗塞につながる可能性があります。早期の受診をおすすめします。
動悸のきっかけ
階段を上る、坂道を上るときに生じる動悸は心不全を合併している可能性がありますし、狭心症によって動悸が生じている可能性もあります。早期の受診が必要です。また、徐々に軽い労作でも症状が生じるようになっている場合にはより緊急性が高いです。
動悸に伴う症状
以下の症状を合併している場合には注意が必要です。
・胸の痛み(胸痛)
・むくみ(浮腫)
・ふらつき
・めまい
・息切れ
・呼吸困難感
・失神(意識消失)
・冷や汗
動悸に胸痛を合併している場合には狭心症の可能性があります。また、浮腫や息切れ・呼吸困難感を伴う場合には心不全や弁膜症を合併している可能性があります。ふらつきやめまい、失神などは血圧が低下して脳への血流が低下している可能性があり、場合によっては命にかかわります。いずれも早めの受診・精査・治療が必要です。
患者様の背景
ご家族に不整脈の方がいらっしゃる場合には不整脈の可能性が高まりますし、心臓や原因不明の突然死をした方がいらっしゃる場合には注意が必要です。
脂質異常症、高血圧、糖尿病、喫煙は狭心症や心不全の危険因子ですのでこういったご病気や生活習慣をお持ちの場合には狭心症や心不全の可能性が高まります。
こうした家族の病歴や、危険因子をお持ちで動悸の症状がある場合には受診をお勧めします。
動悸の検査
動悸の症状がある場合には心電図や心臓超音波検査、血液検査、胸部レントゲン検査を行って心臓由来の動悸かどうかの検査を行います。胸痛を合併し、狭心症を疑う場合には当日の検査だけでは診断が困難な場合もあります。運動負荷心電図や冠動脈CTなどのより詳細な検査をさせていただく場合もあります。また、動悸の原因が心臓由来かを特定するためにはホルター心電図という長時間装着型の心電図を行う場合もあります。重篤なご病気の診断に至った場合には連携している病院にご紹介をさせていただき治療をさせていただく場合もあります。
動悸の予防方法
狭心症や心不全にならないために普段の予防が重要です。
禁煙はきわめて重要です。高血圧・糖尿病・脂質異常症がある場合にはしっかりと治療することが重要です。肥満や運動不足にも注意が必要ですので食べ過ぎに心がけて適度な運動を心がけていただくことが必要です。運動に関しては特に有酸素運動が重要です。30分以上のウォーキングやジョギングなどの運動を週に2-3回心がけましょう。