胸痛の診療
胸の痛み(胸痛)の原因には以下のような様々なご病気の可能性があり、その中には重篤なご病気も含まれますので速やかに原因の診断をすすめて治療を行う必要があります。今回は注意すべき症状のポイントについてまとめております。
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1)心臓のご病気: 急性心筋梗塞、狭心症、心膜炎、心筋炎
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2)血管のご病気: 胸部大動脈瘤、急性大動脈解離、肺塞栓、肺高血圧症
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3)肺や気管のご病気: 気管支炎、肺炎、胸膜炎、気胸、膿胸、縦隔炎
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4)消化器のご病気: 逆流性食道炎、食道痙攣、アカラシア、胃十二指腸潰瘍、マロリーワイス症候群、胆石症、胆嚢炎、膵炎
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5)骨や筋肉のご病気: 肋骨骨折、脊椎腫瘍、肋軟骨炎、脊椎圧迫骨折、頸椎ヘルニア、脊椎炎、肋間筋痙攣
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6)皮膚や皮下のご病気:乳腺炎、帯状疱疹
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7)心のご病気:パニック障害、過換気症候群
胸痛の場所は?
胸痛の場所は原因を予測するうえで重要な指標の一つです。
胸の表面で起こる痛みは、胸壁の神経や筋肉の炎症、けが、帯状疱疹などの皮膚のご病気や時には風邪の症状の一つとして起こることがあります。後遺症を残す可能性もあり治療が必要ではありますが、比較的命に関わるような重篤なご病気である可能性は低いと考えられます。
一方で、胸の深いところ(内臓)で起こる痛みは、重大な心臓や血管の病気(心筋梗塞、大動脈解離、肺塞栓症など)である可能性があります。早急な精査が必要です。持続する場合には救急車を呼んでもかまいません。
胸痛の性状は?
- 胸の下(または首、あご、肩、腕)の絞扼感や締め付けられるような痛み
- 運動や精神的ストレスで増悪する痛み
- 動悸、息切れ、めまい、不安感を伴う
上記のような胸痛の場合にはより心臓が関連する可能性を疑います。
また、急に起こる激しい胸痛や背中の痛みは血管のご病気が関連する可能性を疑います。
実際の診療においては、症状として非典型的であっても心臓や血管が関連しているようなケースにも遭遇します。まずは丁寧に検査を行い、心臓や血管の関与する重篤なご病気の可能性を除外することが重要です。
胸痛の持続時間は?
胸痛が持続する場合
まず、一刻を争う心筋梗塞や大動脈解離、肺塞栓症を否定することが重要です。
心筋梗塞をチェックするには血液検査でトロポニンやCKMBという数値の上昇がないかを確認したり心電図の変化を確認するのが特に重要です。合わせて心臓の超音波検査で心臓の動きの低下がないかを確認します。
大動脈解離や肺塞栓症をチェックするには血液検査でDダイマーという数値の上昇がないかを確認したり、CT(場合によっては造影CT)検査を行う必要があります。
間欠的な胸痛の場合
ホルター心電図検査を行い、胸痛が出ているときの心電図波形を確認したり、冠動脈CT(心臓CT)検査を行って心臓の血管(冠動脈)に細い個所や詰まっている箇所がないかを確認する必要があります。
重篤な病気さえ否定できれば少し時間的猶予ができます。しっかりとお話を伺いながら胸痛の原因を考えて適切な対処法を考えていく必要があります。
当院ではこれらの検査をすべて当日に行うことで心臓や血管のご病気が関連する可能性を速やかに除外することができます。自宅で患者様が不安な思いをすることがないように努めています。
当院は土日でも診療を行っております。
胸痛を感じられた患者様は気軽にご相談ください。
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