心臓のご病気をお持ちの患者様の運動について
心臓のご病気と運動
心臓のご病気をお持ちの患者様は徐々に動いた時の息切れなどの症状が出現するようになります。そうした症状が出現するようになると活動量が減り、さらに体力が低下し、さらに症状が悪化します。心臓のご病気の患者様はそうしてみるみるうちに体力が低下し、最終的には寝たきりや命にかかわる状態に至ります。
この悪いサイクルを断ち切るためにも適度な運動は重要です。
ただし、過度な運動は逆に心臓のご負担になり、心臓のご病気の状態を悪化させかねません。
適度な運動とはどの程度の運動?
基本的に心臓のご病気の患者様にとって特に重要なのは有酸素運動であると考えられています。患者様に説明するときには「軽く息が切れる程度の運動」「少し汗ばむ程度の運動」などと表現しています。ただ実際には心臓のご病気をお持ちの場合には、通常の運動でも有酸素運動から無酸素運動に切り替わってしまっていることも少なくありません。それを適切に評価するのが心肺運動負荷試験という検査です。
この検査を行うことで、どれくらいの運動で有酸素運動から無酸素運動に切り替わるかを知ることができ、その値を目安に運動のメニューを組むことによってしっかりと有酸素運動を確保することができます。実際は心臓の運動療法のガイドラインでも、心臓の運動療法を行う際にはこの心肺運動負荷試験を行ってそれに基づいて運動メニューを組むことが強く推奨されています。
医院・病院で行う心臓の運動療法
病院で運動療法を行うことになじみが少ない患者様もいらっしゃるかもしれませんが、評価を行ってオーダーメイドの運動メニューを組むことが病院での運動療法の利点であるといえます。
最も重要なのは有酸素運動ですが、筋力トレーニングと組み合わせて行うことでより効力を発揮することが明らかになっております。当院ではより効率のいい筋力トレーニングを行うためにHUR社の専用の機器を設置しております。この機器を用いることで、鍛えたい筋肉に焦点を当てて効率よくトレーニングのメニューを組むことができます。
心臓のご病気で活動性が低下するとうつ傾向になったり認知症が悪化したりするともいわれていますが、こうした運動療法はそういった精神面にも効果があることが明らかになっています。
週に2-3回の運動が最も効果であるとされていますが、まずは週に1回からでも始めてみるのが大事だと思います。通院が難しい患者様には送迎も行っておりますのでまずは気軽に相談してみてください。