糖尿病と減量
- 2024年3月17日
- 生活習慣病
生活習慣の改善は糖尿病の発症を予防したり遅らせたりする重要な要素です。
糖尿病患者様における生活習慣の改善目標は有酸素運動を週に150分行うことと体重を10%減量することとされています。
運動療法(有酸素運動)
有酸素運動は低~中等度の負荷が継続的に筋肉に係ることによってエネルギー源として体脂肪が使われるようになり脂肪の燃焼効果が期待できます。人間の体は運動強度が上がるにつれて脂肪の利用割合が下がるようになっていますので、脂肪を燃焼させて減量効果を得るには強すぎる運動は向いていません。
ダイエット薬として糖尿病のお薬を使用する場合があり、本来の糖尿病の方に使用するお薬が枯渇しているということがしばしばニュースになります。この糖尿病のお薬は「GLP1受容体作動薬」というお薬です。このGLP1という物質はインスリンの分泌を増加し、血糖値を低減し、体重を減量する効果があることが知られています。有酸素運動には3か月程度継続することでこのGLP1の分泌を増加させることができる効果があることがわかっています。まさに「運動は薬」といえます。
過去の報告を見ていくと、有酸素運動単体で2か月ほどでHbA1c値で0.3程度の低下が期待できますが、2か月を過ぎると徐々に元の数値に戻ってしまいます。有酸素運動を基軸にして筋力トレーニングを組み合わせると、効果が持続しやすいので、有酸素運動に筋力トレーニングを組み合わせて行うことが推奨されています。
食事療法
カロリーの目標値
まずは1日の摂取カロリーの目標を設定します。
糖尿病患者様ではBMIという数値でおおよそ22ぐらいを基礎代謝の基準として計算を行います。
摂取カロリーの目標値は22×体重×【身体活動レベルの係数】で計算します。
身体活動レベルの係数は活発に活動している場合には2.0を、標準は1.5を、活動性が低い場合には1.0を採用します。
例:60kgの活動性の高い患者様
例えば60kgで活動性の高い方であれば、22×60×2=2640kcalが目標となります。
ただ高齢者ではエネルギー量が不足すると、低栄養をきたして死亡しやすくなる懸念もあり、高齢者では上記よりも緩めのカロリー制限が必要と考えられています。
減量のための食事のポイント
・食べすぎに注意
先ほどのカロリーの目標値を参考に過度なカロリー摂取に気を付けましょう
・1日3食規則正しい食事
食事の間隔をあけすぎると、体は飢餓状態と勘違いし、エネルギーを蓄積しやすくしたり太りやすくする機能が働きやすくなり、減量には不利になります。
・ゆっくり食べる
食べ始めて満腹感を感じるまでには15-20分かかると言われています。ゆっくり食べることによって食べ過ぎることなく満腹感を感じることができるようになります。同じような理由で野菜からとるようにすることも大事です。
・間食は最小限に
間食にとるようなお菓子や清涼飲料水には糖質や油脂を多く含んでおり、体重増加を招きやすくなっております。間食を最小限にすることが減量のためには重要と言えます。
・ながら食いをやめる
なにかをしながら食事をとると、無意識に食べ過ぎてしまうことがあります。食べることに専念してもらうことも大事です。
・飲酒は適量に
アルコール自体が高カロリーなうえに、飲酒をすると自制心が緩んで食べ過ぎてしまう心配があります。適度な飲酒量にとどめることも減量を目指すうえで重要です。
このような有酸素運動中心の運動療法と食事療法を組み合わせて、体重を10%程度減量することが糖尿病の治療としても予防としても重要です。
当院では医師だけでなく、看護師も糖尿病患者様の運動療法や食事療法に精通しております。是非気軽にご相談ください。
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