糖尿病の分類と診断
糖尿病とは、インスリンというホルモンの不足や十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまい慢性的に高血糖が続く病気です。
重症になると血液中の糖が尿にあふれ出ることで甘い匂いがするためその名がありますが、診断は尿糖だけでなく採血や空腹時血糖、75g経口ブドウ糖負荷試験といった検査によって診断されます。
糖尿病の分類
糖尿病には2種類あり、1型糖尿病・2型糖尿病があります。
1型糖尿病
病態
インスリンを分泌する細胞である、膵臓の膵β細胞という細胞が自分の免疫によって破壊される(自己免疫性破壊)ことでインスリンの分泌機能が破壊されるご病気です。インスリン依存型とも呼ばれ、インスリンの分泌ができなくなります。一般的には子供のころに発症します。
リスク因子
両親や兄弟姉妹、子供が1型糖尿病を持っている場合には5-6%の発症のリスクがあるとされています。家族に1型糖尿病のいない患者様でも0.4%程度に発症のリスクがあります。
合併しやすいご病気
1型糖尿病の患者様は自己免疫性の甲状腺疾患やAddison病、白斑病、自己免疫性肝炎、重症筋無力症や悪性貧血など他の自己免疫関連のご病気を発症しやすいと言われています。
検査
血液検査でGAD抗体やチロシンホスファターゼ抗体の検査を行います。
治療
インスリンでの治療が必要になります。
2型糖尿病
病態
インスリンを分泌する細胞である、膵臓の膵β細胞のインスリンの分泌機能が低下するご病気です。炎症や食生活、遺伝的な要素が関連すると言われています。従来は若い患者様の糖尿病は1型糖尿病がほとんどでしたが、肥満の増加などにより若い患者様の2型糖尿病の頻度が増加しています。
リスク因子
最も重大な糖尿病のリスク因子は肥満です。以下のような因子を持っていると糖尿病になりやすくなります。
・年齢≧45歳
・BMI≧25kg/m2
・両親や兄弟姉妹、子供が糖尿病
・活動性が低い
・妊娠糖尿病の病歴
・高血圧
・HDLコレステロール(善玉コレステロール)<35mg/dl ・トリグリセライド(中性脂肪)>250mg/dl
・動脈のご病気
・多嚢胞性卵巣症候群
検査
血液検査でGAD抗体やチロシンホスファターゼ抗体の検査を行い、1型糖尿病を否定します。
治療
食事療法や運動療法を第一に行います。
効果が不十分な場合にはお薬での治療を行います。
それでも効果が不十分な場合にはインスリンでの治療を行います。
糖尿病の診断
糖尿病の診断には空腹時血糖とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を用いるケースが多いです。以下に米国糖尿病学会による診断基準をお示しします。空腹時血糖とHbA1cいずれかの基準に合致すれば糖尿病と診断されます。糖尿病の新規症例の1/3は空腹時血糖のみで診断され、1/3はHbA1cのみで診断され、残りの1/3は両方の基準で診断されると言われています。両方の基準を満たすのは1/3だけにすぎず、片方でも基準に合致する場合には糖尿病と診断する必要があります。
それぞれの検査の特徴をお示しします。
空腹時血糖
安価で容易に検査ができますが、8時間の絶食がないと正確な数値が出ない問題点があります。
正常:空腹時血糖<100mg/dl
前糖尿病:100mg/dl<空腹時血糖<125mg/dl
糖尿病:126mg/dl<空腹時血糖
空腹時血糖126mg/dlを境に網膜症のリスクが増大することが報告されており、それに基づいて126mg/dlの基準が用いられています。
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
世界的に標準化されている検査であり、絶食が不要であるという利点があります。
正常:HbA1c<5.7%
前糖尿病:5.7%<HbA1c<6.4%
糖尿病:6.5%<HbA1c
HbA1cは誤って高値になったり、誤って低値になる場合があります。
誤って低値になる場合
ヘモグロビン異常症、活発な溶血、エリスロポエチンでの治療中、末期慢性腎不全
誤って高値になる場合
鉄欠乏、ビタミンB12欠乏、葉酸欠乏
HbA1cも空腹時血糖検査も万能な検査ではありませんので片方だけで糖尿病を判断することはできません。両方の数値を評価して糖尿病の診断を行うことが重要です。
当院における糖尿病の診断
当院では空腹時血糖、HbA1cともに院内の血液検査機器を用いて測定が可能です。
当日に診断を行うことができますので気になる方はお気軽にご相談ください。
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